100年前、ここは海だった
現在の四日市港の埠頭に当たる三重県四日市市千歳町が、かつて海だったことを知っているだろうか。四日市港の拡張とともに大正期に埋め立てられたこの一帯は、昭和が始まる前年の1925(大正14)年に「第2号埋立地」として完成した。
その後、第2期修築事業が完成した1936年3月25日から5月13日までの50日間、千歳町(=第2号埋立地内)5万坪の土地で「国産振興大四日市博覧会」が催され、当時の四日市市の人口6万人の20倍に値する120万人の来場があり、大いににぎわったという。※開催概要・来場者数等は『四日市市史』(通史編・近代)および三重県文化振興課資料に基づく。
そして現在、2025年は昭和100年に当たる年だ。
節目の年の終わりに、この町を歩いてみた。


2003年の映画に映った千歳町
そんな千歳町の平成中期の風景が、映画の中に残されている。2003年公開の「いずれの森か青き海」だ。四日市市出身の瀬木直貴監督によるこの作品には、千歳町をはじめ、四日市港周辺の街並みや市内の風景がいくつも登場する。


千歳町は、主人公が自転車で疾走するシーンに多く使われている。


港に近い道、建物の並び、何気ない街の表情。
地元の人たちも多く出演し、日常の延長のような佇まいが、そのまま画面に収められている。



昭和100年の現在から振り返ると、4半世紀近く前の映画の中の千歳町は、少し若く、懐かしい。


埋め立てによって生まれ、昭和と平成の時代を丸ごと通過してきた町の一時期を、映画は記録していた。
「昭和100年」の終わりに
映画の公開から20年以上が過ぎ、街の風景は少しずつ変わった。
建物は更新され、周囲の環境も変化している。
けれど、この界隈を歩いてみると、町の輪郭そのものは、大きく変わっていないことに気づかされる。
昭和100年の年の終わりに、いつもの街を少し違う視点で歩いてみるのも悪くない。



